2019年3月13日水曜日

2018年度卒論発表会・総会は無事に終了しました。

 予てお知らせしましたとおり、2019年3月3日(日)に道歴研の卒論・修論発表会と総会を開催しました。場所は北大人文社会科学総合教育研究棟(通称W棟)W309号室、13:30に始まって、17:00すぎに終了しました。

 参加者は19名でした。 

 まず、吉田朋生さん(北海道大学)による「天明期の松前藩財政と場所請負制の転換―「御収納取立目録j の分析を中心に―」の報告が為され、松前藩の商場知行制が借金返済の必要にせまられて場所請負制に変質したこと、その際、松前藩は「御断延」により貸付金の現金返済が打ち切ることで、債権者である場所請負商人に問題解決を転嫁したこと、商人は貸付金回収のためにアイヌを搾取する必要にせまられたこと、などが述べられました。

 つぎに、大月萌花さん(藤女子大学)による「大正期高等女学校における「理想の女性」― 二つの『婦女善行録』の分析から ―」の報告が為され、北海道と大分県とで編纂された『婦女善行録』の内容分析から、大正期高等女学校における『理想の女性』像について、地域性の違いが垣間見えることが明らかになりました。このことは教育史でしばしば強調される中央集権的な文部省行政とは異なる研究視角の必要性を示唆するものでありましょう。

 最後に修士論文の報告として、富永智希さん(北海道大学)におる「幕末維新期の江川農兵 ―武州多摩郡日野宿組合を中心に」の報告が為されました。幕末維新期の村落社会に生きる人びとにとって、農兵は村落の自衛的取締活動を行う上で必要となった負担であり、このことはかつて学会を風靡した変革主体論とも、世直し状況論とも一線を画す結論となりました。

 その後、つづけて総会を開催し、2018年度活動報告・会計報告が承認された後、2019年度活動方針が議論されました。ここで『道歴研年報』第20号を最後として、紙媒体の雑誌発行を終了し、PDF版をブログで無料配布すること、それにともない会費制度を廃止すること、などが了承されました。
 以上の決定にともない、我が北海道歴史研究者協議会は、『無料学会』への道を歩み始めることとなります。

 17:30より、場を札幌駅近くの魚民に移して慰労会医を催しました。こちらも盛況でした。


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